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 朝の儀式



彼が無事来日してから6日目の朝である。



彼の来日の前の晩は緊張で眠れず

当日空港で彼を待っている間も落ち着かず

手に汗をかきながら不安な時間を過ごした。

自分がアメリカで入国拒否に遭った経験が

トラウマになっているのか

彼が無事に日本の入国審査を通過出来るか

意味もない不安にかられて苦しんでいたのである。



遠距離終了を目前にして彼がもし入国できなかったら?

私は彼の住んでいる国に入れず彼もまた

私の住んでいる国に入れないなんてことになったら?

考えるだけで吐き気をもよおしてくる。

うげぇ~っ・・・

まったくどこまでも悲劇的なドラマが好きな性格である。



そんな不安をよそに彼がすんなりと入国し

ふたり一緒ににいられる幸せをしみじみ味わいながら

過ごす6日目の朝は彼の淹れるカプチーノで始まった。



一昨年のクリスマスにイタリアの彼の実家を訪ねた際に

お土産として彼の両親から頂いた

二人用サイズのエスプレッソメーカーと

ふわふわミルクを作るためのカプチーノクリーマー。

遠距離中はほとんど出番がなかったこれらの品々が

彼の来日と共にやっと活躍の場を与えられ

スイートな朝のひとときを演出するのに活躍している。



朝起きてシャワーを済ませキッチンに行くと

テーブルには出来立てのカプチーノ。

朝はプレーンなエスプレッソではなく

ミルク入りを飲むのがイタリアの定番スタイルなのだ。

マグカップの縁からきめ細かい泡をひとくちすする。

あぁ~、たまらない・・・。









去年の1月、生活のすべてをハワイに残したまま

突然日本へ帰国したとき

私が持っていたのはスーツケースひとつだけ。

その中に入っていたものといえば少しの衣類や化粧品、

そしてイタリアから持ち帰ってきた

エスプレッソメーカーとカプチーノクリーマー、

ハワイに帰ったら早速エスプレッソを淹れて

飲めるようにと彼と一緒に選んだエスプレッソ用カップ

だけだった。

一体私一人でこんなもの持っててどうしろっていうの?

見ていると涙が溢れてきちゃう。

今頃ハワイの部屋で彼とイタリアの思い出話をしながら

エスプレッソを飲んでいるはずだったのに・・・・・



絶望のどん底にいた私は、

彼と離れ離れになったショックをやわらげるための

「朝の儀式」なるものを考え出した。



朝、まだ使い慣れないエスプレッソメーカーで

二人分のコーヒーを淹れる。

そしてテーブルに立てた彼の写真の前に

彼のカップを置き、写真に向かって

「おはよう」と声をかけ

一緒にモーニングコーヒーを飲んでいる気分に

浸る・・・・・・。









彼の淹れたカプチーノを飲みながら

「朝の儀式」のことを彼に語って聞かせていたら

無性に可笑しくなってきて

ふたりで大笑いしてしまった。



あまりにも悲劇的で感傷的すぎる。

でも当時の私はそれを大真面目でやっていたのだ。

ときには目に涙をためながら。

その真面目さが妙に可笑しい。

まるでコメディーのようじゃない?



考え込んで深刻になっているとき、

ふと一歩引いてそんな自分を眺めてみると

なぜか可笑しくて笑えてしまう。

「なんでそんなに深刻になってるの?」

すると元の深刻な状況に戻ろうとしても

なかなか戻れない、可笑しくて。

やっていられなくなっちゃうのだ。



そんな風に自分の状況を

笑えるようになればもう大丈夫。





彼と大笑いしながら

離れていた時間を思い返し

こうしてまた二人一緒にモーニングコーヒーを

飲めるようになったことに

感謝するのであった。




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23:57 | 遠距離恋愛日記
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